『まだまだ知らないことばかり』
十文字学園女子大学 人文学部文芸文化学科 4年
諸星 亜弥果
私は新座市についてあまり知らない。なぜなら、大学生になってはじめて新座という地に足を踏み入れたからだ。だから、新座の観光名所を聞かれても答えることが出来なかった。
ある日、授業が休講になってしまったので、友人と新座周辺を散歩しようという流れになり普光明寺(ふこうみょうじ)に行くことにした。スマホで行き方を調べると、新座駅から徒歩で約20分のところにあるらしいが、私も友人も方向音痴で、かつ、土地勘がなく辿り着ける気がしなかったので、志木駅からバスで目的地近くの停留所まで行く楽な方法を選んだ。バスを降り、マップに従って閑静な住宅地を7分ほど歩いたところに普光明寺はあった。
入り口である山門がとても立派で目を奪われた。この山門は江戸時代につくられたもので新座市の有形文化財に指定されるほど価値のあるものらしい。厳かなうえに繊細さがあり、思わず足を止めて見入ってしまう。たしかに注目してみると、欄間の彫刻が細かく作られていて当時の彫刻技術の凄さがうかがえた。そして、近くのポスターに「三十三年に一度の千体地蔵尊御開帳」と書いてあるのが気になった。解説が書かれている看板には源頼家が奉納したと伝える千体地蔵尊が本堂前の地蔵堂に納められていると書かれていた。残念ながら寺を訪れた日は開帳していなかったが、33年ぶりの開帳がなんと令和7年の4月上旬に3日間行われるとのことだ。あと半年すればこの目で拝むことが出来ると思うと心躍るものがある。この機会を失うとまた33年も待つ必要があるので、半年後の開帳は見逃せないだろう。
山門をくぐり、竹林や木々に囲まれた境内に入ると手水舎がある。インターネットをひらけば正しい作法が載っているが己の勘と友人の知識を頼りに、ああではないかこうではないかと議論を繰り広げつつ身を清めた。
境内には赤い前掛けを身に着けた地蔵や仏像が点在するようだ。欠けていたり、文字がかすれていたりするなど石の状態からどれもこれも歴史を感じられる。仏像のポーズや表情も一体一体違っていて魅力的だ。
本殿の近くには墓地が広がっている。両墓制といって墓石が建てられた場所と遺体が埋葬されている場所が別にあるのが特徴らしい。
そして、普光明寺の目と鼻の先に大和田氷川神社があるので合わせて見ておきたい。
朱色の鳥居と白色の鳥居のコントラストが綺麗で、そこから覗く本殿がとても神秘的だ。
大学生活も残すところあと半年。まだまだ新座市の魅力について知らないことばかりだが今から知ろうとしても遅くないだろう。卒論の気分転換に新座周辺を散策するのも悪くない。