『私の新座旅』

跡見学園女子大学 観光コミュニティ学部観光デザイン学科 2年
川名 妃夏

 

 「旅」という言葉を聞くと、飛行機や新幹線に乗り遠くに行き、非日常体験を感じられるようなことを思い浮かべるのではないであろうか。
 正直、私自身、大学に入るまで新座という町を知っていたわけではない。それ何処?と疑問が浮かぶほどだった。幼いころから緑が少なく建物が多いところで育ったこと、片道約二時間かけてきていることもあり、新座という場所は私にとって「旅」に来たという気分になるほどだった。正直いい意味の「旅」ではなく、退屈だと感じてしまっていたのが正直な感想である。「旅」というと大袈裟な気がするが、私にとってはそれほど未知の世界であった。
 初めはただ学校に来るということが「旅」だった。緊張と不安でいっぱいだった。次第に学校生活に慣れ余裕が出来たこともありせっかくなら退屈だと思っていてもしょうがないから「旅」をより面白いものにしたいと考えた。
 新座に来る目的は学校に通うこと。それ以上でもそれ以下でもない毎日だった。新座について何も知らなかった私はとりあえずインターネットで「新座 有名」と検索し、一番上に出てきた「平林寺」に行くことにした。今回の「旅」は歩いていくことも考えたが、方向音痴なこともあり新座駅からバスで行くことにした。バスに乗るとお年寄りが多い印象だった。買い物をしてきたのだろうと思う荷物を持っており、自宅に帰るであろう方がたくさんいて和やかな気持ちになった。「平林寺」で下車するとさらに穏やかな気持ちになった。今まで耳に着けていたイヤホンを外し手に持っていたスマホを鞄に入れて自然を感じた。歩くと聞こえるサクサクした音を感じながら御朱印をもらいに行くことにした。なにかパワーを感じられるような気がした。紙に書いてもらったものを集めるという風習は少し少なくなっているような気がして新鮮な気持ちだった。スマホではなく折れないように御朱印を片手に持ち散策した。ここは秋になると紅葉が綺麗に咲くのかなどと考えているとあっという間に時間が過ぎた。とても静かな中にカメラを構え写真をとる男の人がいたり、散策している人がいたり、自分の他にも同じ自然を感じている人がいることになぜか喜びがあった。
 中々感じる事のない自然を感じ、今まで悩んでいたことを忘れ、時間が過ぎていったのである。これは「旅」であり大きな非日常体験になったのではないであろうか。普通に過ごしていては感じる事のできない貴重な体験になったのである。学校から家に帰るといつもならすぐに部屋に戻り自分の時間を過ごすがこの日はいてもたってもいられずに家族に私が体験した「旅」について存分に話した。