選考委員 市内3大学の先生方からの総評
跡見学園女子大学
観光コミュニティ学部准教授 村上 雅巳 先生
トラベルライティングアワードはここ数年新座市内3大学(跡見、十文字、立教)の学生が参加するようになりシティプロモーション(新座市の魅力の情報発信)としても重要な位置づけになってきていましたが今年度はコロナ禍の影響で各大学オンライン授業が中心となり多くの学生が市内のキャンパスに通学できなくなる状況が続き結果的に立教大学の学生だけの参加となってしまいましたが応募作品はどれも新座市のちょっとした日常や隠れた魅力に視点を当てた力作でした。特に最優秀賞をはじめとした入賞作品は読んだだけでその魅力的な情景が鮮やかに思い浮かぶような秀作ばかりでした。
次年度はぜひ本来の3大学の学生が参加できるトラベルライティングアワードが実施できることを期待します。
十文字学園女子大学
教育人文学部教授 小林 実 先生
今年は新型コロナウィルス感染拡大のせいで、なかなか原稿が書きづらかったことと思います。今年もやると連絡を受けたときは、私も半信半疑でした。まずは、このような中でも応募していただいた立教大学の学生さんたちと、指導にあたられた先生方に敬意を表します。
正直にいうと、きっと今年は定番の平林寺あたりでお茶を濁すのかなと高をくくっておりました。ところが、送られてきた二次審査用作品に目をとおすと、もちろん平林寺もありましたが、立教生が新座駅から徒歩で通学するときにぬける住宅街の一角とか、以前から気になっていながら、私がなかなか足を運べていないダチョウ牧場とか、旧川越街道沿いの神社とか、私のツボをついてくるような場所が、続々とりあげられていたのには驚きました。
審査しながら、「そうそう、そんな感じ!」「なるほど、そうなっていたのか!」など、私も一緒に市内を散策しているような気になり、みなさんの作品を読むのがとても楽しかったです。
特に今年は、選んだ場所をめぐるドラマが描かれている作品が、いくつも散見されたのが素晴らしい。トラベルライティングたるもの、場所の力だけに頼るのは、いささか安易ですよね。その場所が書き手にとって、どんなドラマの舞台なのか、それがしっかり描けていることが大切です。場所に物語がついてはじめて、その場所は魅力を発するのですから。
新座を訪れ、新座でくらすことの意味を、どれだけ深く考えられるか、そんなことが問われたのが、今年のアワードだったと思います。
立教大学
観光学部兼任講師 抜井 ゆかり 先生
新座市に籍を置く三大学の学生の作品により、本トラベルライティングアワード新座賞は構成されております。今年度は新型コロナウイルスの影響により、各大学のキャンパスへの登校が制限され、新座市に足を踏み入れたことのない新入生も多々おりました。そのため、二大学からの作品応募を断念せざるを得なくなったことは残念なこととなりました。
そのような状況下ではありましたが、400以上の作品を本年度も対象とできたことは救いでもあります。特に提出作品の中でも、このような状況下で、身近にある新座の豊かな自然に改めて気づき、それらにふれる喜びを謳ったものが多かったことも本年度の特長となるでしょう。
またトラベルライティングアワード新座賞設置から数年を経て、ただ単に見ただけの印象や感想を記したものよりも、自分の想い出や記憶、経験に照らして、自らの感性を最大限に活かし、伝えようとする試みが多く見られました。さらに既に名の知られた観光スポットだけでなく、自らが新たな場所を見出そうとする意欲作も多くなったように感じます。
受賞作は、このような時期だからこそ、大学の通学路周辺や、そこからちょっと足を延ばしただけで気分転換になる魅力的な場所が新座市には様々ひそんでおり、自分が視点を変え、観て体験することにより、それらが「小さな観光」につながるということを改めて感じさせてくれる秀逸な作品が多く揃いました。
この取り組みが学生たちに、さらなる新座市への愛着を形成することを願ってやみません。